(1)デイトレードの特性についてのメリット・デメリット
○文献「デイトレード」によると、デイトレードとは「一日に何回も取引をするアクティブなマーケット参加者」と定義され、主に株取引において使用される事が多い。一般的にはポジションを翌日に持ち越すことがないとされるが、必ずしもそういうわけではない。どちらにしろ短期間で売買を繰り返すというところに特徴がある。インターネットの普及・オンライン証券の増加に加え、取引手数料の自由化によって、誰でも簡単に参加できるようになり、デイトレードを行う人たち、つまりデイトレーダーと呼ばれる人が増えている。ネット証券も外国為替証拠金取引といった新たなサービスなどもはじめ、このようなサービスの充実が、トレーダーの増加に拍車をかけている。
○デイトレードのメリット:デイとレーダーは長期的に資金が拘束されるような取引を避けて取引をするため、1日の内に何度もポジションを変えることができる。そのため、資金を効率よく運用することができる。また、その日の終わりにはポジションを手仕舞うので、マーケットが閉まっている間に流れる景気指標などの悪いニュースによる株価下落のリスクがない。さらに、テクニカル分析により、トレンドを見つけ、ある程度の予測をすることができ、マクロな視点や、企業のファンダメンタルな分析はあまり必要としないところに特徴がある。また、損切りを確定しておくことで、急激な株価の下落に対しても損の額を抑えることができる。
デイトレードのデメリット:頻繁にトレードを行うために、時間費用が大きく、市場が開いている時間はずっとパソコンの前で過ごさなくてはならない。また、株式投資や為替投資などはリスクが大きく、テクニカル分析でも読めない動きも多く、安定的な収益は望めない。特に変動が大きかった場合は、短時間の間でも大きく損をすることもある。ライブドアの件では一日で何千万の損失を出したデイトレーダーもおり、専門知識と運用スキルがなくては危険性が高いといえる。
(2)投資と投機の違いとそれらのメリット・デメリット
○投機とは、先物やオプションなどを用いてレバレッジを効かせ、ある資産が上がるか下がるかのどちらかに賭けてポジションを取ることをいう。どちらかというとギャンブルといったイメージに近い。投資は、投機も含むが、一般的には資金を貸し、その借り手の信用リスクに見合った利回りを上乗せすることで利益を得ることをいう。投資にはギャンブルというよりも、資金を貸すといったイメージの方が近い。
○投資のメリット:資金を現金のままで眠らせておくのではなく、リスクを負った投資をすることによって、より大きなリターンを得ることができる。また、分散投資によってリスクを相殺したり、別のポジションを取ることによって考えられるリスクをヘッジしたり、リスクを耐えうる人々にそのリスクを移転したりすることで、適切に対処することもでき、スキルと知識があれば、より確実に目標とする利回りを得ることができる。
投資のデメリット:リスクがなく、安全といわれる国債であっても、デフォルトしてしまうように、シミュレーションや、予測モデルではとらえきれないリスクが起こる可能性がある。バブル崩壊では地価や株価が大きく下がり、投資をせずに現金だけ持っていればよかったというようなケースもあり、必ずしも投資することで資産を増やせるとは限らないのである。
投機のメリット:先物やオプションといった商品は現物そのものを買うわけではないので、現時点ではキャッシュフローが多く発生しない。そのため初期投資が少なくて済む。初期投資が少ない分、借入れなどをすれば大きなポジションを持つことも可能となる。結果として、初期投資量の何十倍をも現物買いするようなペイオフを期待することができるのである。このことを、レバレッジ効果(借入効果)があると呼び、ギャンブルのような一面を作っている。
投機のデメリット:現物で売買するよりも大きな利益を得ることができる反面、損失の可能性も大きくなる。そのため、たった一人の取引が、一つの企業を破綻させるような大きな損失があったように、適切にリスクと向き合わなければ、取り返しのきかない損失を出す可能性もある。
参考文献
フィリップ・ジョリオン(2003)「バリュー・アット・リスクのすべて」、シグマベイスキャピタル
オレバー・べレス、グレッグ・カプラ(2002):「デイトレード」、日経BP社
John Hull, Options, Futures, and Other Derivatives (Prentice Hall College, 6th Edition, 2006)
「日本デイトレーダー協会」
http://www.trade-bay.com/daytradereport/report2006-2-05.htm
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